あなた大丈夫ですか?
歩くと足が痺れ(しびれ)て歩けなくなる
でも休憩するとすぐにしびれがとれて歩ける
また歩くと痺れてくる
私は病院に勤務して11年目になる理学療法士です。
日々、いろいろな患者さんを見ていますが、上記のような訴えのある患者さんをみることがあります。
足がしびれる原因は様々ですが、特に多いのが脊柱管狭窄症です。
脊柱管狭窄症というと、腰の病気、腰痛などをイメージされる方も多いと思いますが、
特徴的な症状は歩く時のしびれになります。
H28年に厚生労働省が発表している国民生活基礎調査によると
病気や怪我で自覚症状のある場所は
男性:1位腰痛、2位肩こり
女性:1位肩こり、2位腰痛
となっており、腰痛は国民病であることが分かります。
脊柱管狭窄症も腰痛は伴いますので、このランキングに影響している病気の一つと考えてもいいと思います。
腰痛のなかでも、比較的若い人がなりやすい病気としては腰椎椎間板ヘルニアという病気があります。
これについてはこちらの記事で解説しているため、参考にして下さい。
[adcode] 私は、11年目の理学療法士で、今も病院に勤務しています。 病院に勤務していると様々な症状の患者さんと会いますが、一番多いと感じるのは腰痛です。 もう、ほとんどの患者さんが腰痛持ちではないかというくらい腰痛の訴えをする[…]
今回は、歩く時の足のしびれが特徴的で、特に高齢者がなりやすい脊柱管狭窄症という病気について解説していきたいと思います。
脊柱管狭窄症とはなにか?
みなさん、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)分かりますか?
読んで字のごとく、脊柱管が狭窄(すぼまってせまいこと)された病気です。
まずは下記の図をご覧ください。
ピンク色が神経です。
この神経の通っている背骨の穴が脊柱管です。
上記の図では黄色が神経です。
神経がでてきている横の穴を椎間孔といいます。
この脊柱管や椎間孔といった神経の通り道が、何らかの原因で狭くなり、神経が圧迫されている状態を脊柱管狭窄症といいます。
脊柱管狭窄症の原因は?
神経の通り道が狭くなる原因で多いのが加齢です。
どの年代でもなる可能性はありますが、もっとも多いのが50~70歳代だといわれています。
主に2つの理由です。
・靭帯が厚くなり神経を圧迫する
・骨が変形して脊柱管や椎間孔が狭くなる
神経の通り道には神経と一緒に、神経を包み込むように靭帯が通っています。
普段はこの靭帯が神経を保護してくれるのですが、年齢とともに靭帯が厚くなり、神経を圧迫してしまうことがあります。
もう一つは、骨自体が変形してしまうパターンです。
これも、年齢とともに少しずつ変形していきます。
周りから「姿勢が悪いよ!」
と言われる人いませんか?
私は言われます(>_<)
普段の姿勢が悪い人や、仕事や趣味、日常生活で腰に負担がかかるようなことをしていた人は、何十年と時間をかけて少しずつ骨が変形し、年をとってから症状が現れたりします。
そのため、50歳以上で症状がでやすい病気となっています。
若い時の予防がすごく大事ですね(^^)
脊柱管狭窄症の症状とは?
主な症状としては
・歩くと足がしびれる(間欠性跛行)
・腰痛
この2つが主な症状となります。
「歩くと足がしびれて歩けなくなるが、休憩するとまた歩けるようになる症状」のことを専門用語で間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。
脊柱管狭窄症といえば、この症状が一番の特徴です。
歩きはじめてから、しびれが出現するまでの時間は圧迫されている状態や歩いている姿勢などによって様々で、1分程度でしびれが強くなる人もいれば、10分程度でジワジワとしびれてくる人もいます。
また、しびれと同時に痛みも感じる人もいます。
腰が痛い場合もありますが、足に痛みがでる場合もあります。
しびれのでる場所も様々で、神経の圧迫している場所により片方の足だけしびれる人や両足の人もいます。
脊柱管狭窄症と間違えやすい病気
脊柱管狭窄症の特徴的なしびれですが、その他のしびれの原因もあります。
下記の項目でチェックしてみましょう。
脊柱管狭窄症は基本的に腰をそらせると神経の通り道が狭くなり、しびれが強くなります。
そのため、前かがみや座ることでしびれが減ります。
高齢の方であれば歩行器を使って歩いたり、若い人であれば自転車に乗って移動すればしびれはほとんどでません。
しかし、これらの項目で当てはまらなかった人は別の病気の可能性があります。
末梢動脈疾患(まっしょうどうみゃくしっかん):PAD
という病気があります。
この病気は足の血管がつまっている状態です。
そのため、神経によるしびれではなく、血管がつまったことによるしびれがでます。
この病気も初期症状としては、歩くと足がしびれてきますが、脊柱管狭窄症よりも長く歩ける場合が多いかわりに、休憩してもすぐにはしびれがとれません。
また、姿勢を変化させてもしびれは変わりません。
さらに状態が悪化すると、常にしびれた状態が続きます。
ここまでなっている人はすぐに病院にいって下さい。
最悪の場合、脳梗塞になったり、足を切断したりすることもあります。
また、どちらの病気も同時になっている場合もありますので、自己判断で終わらせず、まずは病院で確認してもらいましょう。
脊柱管狭窄症の対処法は?
・腰をそりすぎない
・道具を使う
・病院にいって姿勢や動作の指導を受ける
・病院にいけないならとりあえず温めとコルセット
腰をそりすぎない
そのままの通りです。脊柱管狭窄症は前かがみで症状がやわらぎ、そらすと強くなります。仕事や日常生活で腰をそらしすぎていませんか?一度確認してみて下さい。
道具を使う
これは上記でも述べたように、歩行器や杖、自転車などを使用すればしびれを減らしながら移動することが可能になると思います。
病院でよく使われているのがこのタイプで、かなり安定感があります。また、介護保険をお持ちであればレンタルもできます。
病院にいって姿勢や動作の指導を受ける
やはりまずは病院で正確な診断を受けて下さい。そして、理学療法士による専門的な見方から姿勢や動作の改善方法や運動を習って、実践して下さい。一人一人体は違います。誰にでも効く物はそんなにありません。ぜひ個別指導を受けて下さい。
病院にいけないならとりあえず温めとコルセット
腰の痛みやしびれがあると、腰を動かさなくなり、周りの筋肉が硬くなります。そして、その硬くなった筋肉の血流が悪くなり痛みを助長します。そのため、温めてあげると効果的です。蒸しタオルでもいいですが、こちらもレンジで簡単に温められるのでお勧めです。
次におすすめは市販のコルセットです。
腰がそりすぎないようにサポートしてくれます。
病院にいける人は病院でも買えますので必要ないと思いますが、どうしてもいく時間がない人は使用してもいいと思います。
CMでもお馴染みですよね(^^)
ただし、注意して頂きたいのが、コルセットに頼りすぎないことです。
理由は腹筋などの筋力が落ちてしまうからです。
どうしても痛いときだけ使用しましょう。
まとめ
歩くと足がしびれるが、休むとしびれが減る人は要注意です。
神経の通り道が狭くなっているかもしれません。
初期症状であれば、保存療法で改善する人も多いので、早めに病院へ行きましょう。
最悪の場合は手術になります。
長期入院はしたくないですよね。
病院に勤務していても、ギリギリまで我慢してから病院に来られている人が多いなといつも感じます。
半年前にきていれば、軽症ですんだのに・・・
そんな人が結構います。
あなたは早めに行って下さいね。
少しでも参考になればうれしいです(^^)