本当に五十肩ですか?
腱板断裂という病気もあるようですが、それとの違いは何ですか?
こんな疑問にお答えします。
私は現役の理学療法士をしており、毎日肩に症状のある患者さんを見ています。
その中で、よく聞く話しを1つ紹介します。
約1年ほど前から右の肩に痛みがありました。
近所の整形外科を受診し、五十肩だといわれ湿布を貰いました。
治療を続けていましたが、痛みは治まらず、一向に治りませんでした。
そこで先生に申し訳なかったのですが、別の病院を受診することにしました。
そしたら、五十肩ではなく腱が切れてる腱板断裂だと言われました。
すぐに手術が必要ですと。
それで今回肩手術をすることになりました。
ウソのようなホントの話しです。
その方は、最初の病院の先生の話しを信じたがために1年間もの間、本当の治療を行うことができなかったのです。
あなたもそうかもしれません。
そこで、今回は五十肩と腱板断裂の違いと、病院で間違いが起こらないようにするための対処法をお伝えします。
五十肩と腱板断裂の違いとは?:五十肩とは
五十肩とは五十歳前後で肩に痛みがでたら五十肩です。
四十歳前後であれば四十肩といわれることもあります。
さらに、それらをまとめて肩関節周囲炎という場合もあります。
こちらの記事でも肩こりと五十肩について解説しているので詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください。
≫ 肩こりと四十肩・五十肩の違いとは?【理学療法士が解説します】
肩関節周囲炎とは字を見ると分かる通り、肩の周りが炎症している状態のことです。
要するに何らから原因で肩が傷つき、炎症を起こして痛みがでて、肩を十分に動かすことができない50歳ぐらいの人のことを五十肩といいます。
何らかの原因とは様々で、
例えば
・一日パソコンで作業をしていたら痛くなった
・一日読書をしていたら痛くなった
・久しぶりに子供とキャッチボールをしたら痛くなった
・久しぶりにバレーボールをやったら痛くなった
あなたはどのパターンに近いですか?
この中で、特に気を付ける必要があるポイントがあります。
それは、下2つのキャッチボールとバレーボールで痛みが出現したケースです。
この2つのスポーツに限らずですが、腕を繰り返し上下に動かす様なスポーツや仕事で重い荷物を上げ下げするような場合に強い痛みが出現した場合は注意が必要です。
なぜなら、五十肩ではなく
腱板断裂という怪我をしている可能性が考えられるからです。
五十肩と腱板断裂の違いとは?:五十肩の影にかくれる腱板断裂とは
腱板断裂とは肩についている、腱板という筋肉が切れている状態です。
最初に述べたように五十肩や肩関節周囲炎と言われて、病院で治療したのに、一年たっても治らない。
そんな人たちがかなりの数います。
では、なぜ病院の先生が気づかないのでしょうか?
一般的に病院では肩に痛みがあると訴えると、まずレントゲンをとりま。
レントゲンとは骨の状態を確認することができます。
みなさんがよく知っている、骨人間にする機械です。
そのため、基本的には「骨がどうなっているのか」、「骨折はないのか」ここを判断するために検査するわけです。
しかし、腱板断裂とは腱板という筋肉が切れている状態です。
これはレントゲンでは分かりません。
肩に精通した、熟練の先生ならレントゲンでも異常を発見できる場合もありますし、腱板断裂を疑う先生もいます。
しかし、肩の患者さんをあまりみたことがない先生であれば腱板断裂に気づかないケースもあります。
そこで、正確に診断してもらうために必要なのがMRIです。
この図は肩を横からみていますが、骨だけでなく筋肉や脂肪の状態も分かります。
このように筋肉の状態が分かります。
腱板断裂の経験のある先生はすぐに疑うと思いますが、
経験のあまりない、昔の考えの先生だと肩が痛いといったら、疑いもせずに五十肩という先生もいます。
腱板断裂なんて頭にないから、見つかるわけありません。
そして、一年後に患者さんがみずからこのままではだめだと別の病院に行き、発覚するのです。
適切な処置しないと治るわけないですよね。
さらに、この病気は手術する人も多く、見つかってからが時間かかります。
一般的にですが、手術後6週間は装具というもので腕を固定します。
さらに、スポーツや重労働の許可は6ヶ月かかります。
こちらの記事で腱板断裂の手術後の経過について記載してます。
≫ 肩腱板断裂の手術後の治療経過教えます【1ヶ月で仕事復帰は無理】
五十肩と腱板断裂の違いとは?:チェックポイント
今までのおさらにをすると
・腱板断裂とは筋が切れている状態で五十肩の原因の一つ
ということになります。
要するに五十肩の原因の一つに腱板断裂があるので見分けるのは非常に難しいです。
そこで簡単なチェックをしてみましょう。
両手でバンザイしてみて下さい。
②痛い方が肩より上に上がらない
③痛い方も上がるけど、上げた状態で力が入らないでも肩より下では力が入る
いずれかに該当する人は腱板が損傷しているために、五十肩のような症状がでている可能性があります。
ただし、ただ手が上がらないだけなら、拘縮肩という肩が固まってしまう病気もあるため、そちらの可能性もあります。
いずれにせよ、自己判断せず、適切な検査を病院で受けて下さい。