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認知症の症状しってますか?【上手に対処するにはまず理解からです】

  • 2019年9月19日
  • 2020年5月3日
  • 認知症
  • 309view

突然ですが、みなさんの周りには認知症の人はいますか?

私は病院に勤務している理学療法士なので、毎日のように認知症の人と接する機会があります。

厚生労働省によると、

65歳以上の認知症高齢者数
・2012年:約462万人、約7人に1人(有病率15%)
・2025年:約700万人、約5人に1人(有病率20%)
この記事を書いてるのが、2019年のため、約600万人ほどの認知症高齢者がいると考えられます。
患者さんと話していると
物忘れの女性
患者さん
昨日のテレビにでてた俳優さんの名前なんだっけ?
あの人、あの人、え~~と?
ケイ
〇〇していた人じゃないですか?(ヒント)
物忘れの女性
患者さん
そうそう!分かった!
××さんだ!私もそろそろ認知症ね。
ケイ
・・・
それは認知症ではなく、ただの「もの忘れ」ですよ。
という何気ない会話ですが、結構よくある内容だと思います。
認知症という言葉は最近定着してきましたが、その病気についてはまだ知らない人が多いように感じます。
今回は、認知症という言葉は知っているけど、その症状がどのような物か分からない人に向けて解説していきます。
親の1人暮らしが心配な人はこちらの記事をご覧ください。
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親1人暮らし

認知症の症状しってますか?:勘違いしやすい「もの忘れ」

もの忘れ 男性

実際に認知症の方と一緒に暮らしている人や、関わる機会のある人にとっては当たり前のことだと思います。

先ほどの名前がでてこない例でいうと、あれはただの「もの忘れ」で、一時的に忘れているだけです。ちょっとのきっかけで思い出したりします。

こんな経験ありませんか?

会話の中では、でてこなかったキーワード名がその人と別れて関係ない時にふと思い出すようなこと。

これは年齢関係なく、誰でもある「もの忘れ」ですよね。

「最近、忘れ物が多くて困ります。」これも、「もの忘れ」です。

認知症ガイドラインによるとこのような「もの忘れ」を加齢に伴う生理的健忘(せいりてきけんぼう)としており、

通常、体験に対する部分的な「もの忘れ」であり、進行しないか、進行しても緩やかであること、病識が保たれていること、日時の見当識は保たれ、日常生活へ支障をきたすことが少ない

とされており、みなさんがよく「認知症になってしまった」と言っている内は、加齢による正常な認知機能の低下(年相応の状態)と思って頂ければいいかと思います。

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認知症の症状しってますか?:認知症による「もの忘れ」

認知症による物忘れ

認知症についての定義はいろいろありますが、
認知症ガイドラインでは認知症の診断基準として

・注意、実行機能、記憶、言語、知覚‐運動、社会的認知のうち1つ以上で、以前の水準に比べて明らかな低下がある
・これらの低下が日常生活での、請求書の支払いや薬の管理などに援助を必要とする
※一部抜粋

とされています。

ようするに、普段の生活に影響するほどの「もの忘れ」を認知症と思って頂ければいいと思います。

ではどの程度なのか、
上記では請求書の支払いや薬の管理などと書いてありますが、加齢による「もの忘れ」なら、メモを残したりすることで思い出すことができます。

しかし、認知症になるとメモを書いたこと、その行動そのものを忘れてしまいます。

そのため、たとえメモが見たとしても、注意したり思い出したりすることができません。

自分が忘れていることを忘れているため、自覚症状がまったくないのです。

高齢者の方に
「これよく忘れているから注意して下さいね」という、
「私は忘れたことなんてない!」と怒られたことありませんか?

病院のスタッフや自宅で介助しているご家族の方などは、同じことを何度も失敗すると言いたくなる時がありますよね(^-^;

でも本人にしてみれば、自覚症状がないため、その失敗は毎回初めましてです。

初めての失敗に対してそんなこと言われたら、不機嫌にもなりますよね。

この自覚症状の低下は、認知症が進行するほど強くなります。

軽度であれば、家族の方も加齢による「もの忘れ」と思うかもしれませんが、本人と家族や周囲の人との認識にどんどんズレが生じてきたら、認知症が進行しているかもしれません。すぐに病院に行くことをおすすめします。

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認知症の症状しってますか?:行動・心理症状(BPSD)とは

幻覚

認知症による症状が、生活に支障がでるような「もの忘れ」であり、自覚症状がないということは理解して頂けたと思います。

この他に注意しなければならない、症状があります。

行動・心理症状(BPSD)です。

さきほどの認知症による「もの忘れ」を中心とする認知症による症状を中核症状と呼び、それに対して周辺症状と呼ぶこともあります。

主な症状は、

・行動症状:易怒性、食行動、昼夜逆転、暴言、暴行、介護への抵抗、徘徊、火の不始末、不潔行為、
・心理症状:妄想、幻視、幻聴、興奮、うつ、不安、多幸、無関心

とされており、症状は様々です。

中核症状はみな同じような症状として表れますが、周辺症状は違います。

中核症状がでた後に、周りの環境や接する人の対応などによって症状が出現するのです。

もちろん、その方がそれまで生きてきた経験や環境によっても表れる症状は異なるため、周りの影響だけではありませんが、認知症を良くも悪くもできるのはこの周辺症状だと言われています。

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認知症の症状しってますか?:周辺症状の原因

高齢者と人間関係

私の祖母が実際に認知症になった経緯を元に解説していきます。

私の祖母が認知症になったのは約2年ほど前でした。
おじいちゃん・あばあちゃんの2人暮らしで、今までは2人が言い合いをしたり喧嘩をする場面を見ることはありませんでした。
特におばあちゃんは穏やかな性格で、怒る姿は想像すらできませんでした。
ある日から、少しずつおばあちゃんの言動がおかしくなっていきます。
さっき会話した内容をまた話してくるのです。
ちょっと部屋をでるとしばらく帰ってこず、別の部屋でうろうろしているのです。
そして認知症を発症して間もなく、おばあちゃんは「おじいちゃんにお金を盗られる」と通帳と印鑑を隠し始めます。
そして、おじいちゃんに対して「お前が盗んだんだろう」と暴力を振るうようになります。
とうとう2人は別々の施設で暮らすことになりました。

青線が中核症状、赤線が周辺症状です。

今回、周辺症状がでてしまったきっかけの一つとして、子供たちのもめ事が考えられました。

もともと高齢の2人だったため、そろそろ2人暮らしはきつくなっていました。
以前から話し合いはしていたようで、兄弟3人のうち長男が老後の面倒を見ると約束していたそうです。しかし、お嫁さんとの折り合いがつかず、結局は長男はみれないから次男か三男にお願いする。しかし、次男と三男もいい顔しない。

よくある話だとは思いますが、この話合いがきっかけでおあばあちゃんの認知症はエスカレートしました。

そして、一番身近なおじいちゃんに対しての暴言・暴行という周辺症状となって表れてしまいました。

これは、私がかってに推察しているだけで、正解は誰にも分かりません。おそらく、本人にも分からないと思います。

ただ、このような些細なことがきっかけでも症状が悪化することがあるのは事実です。

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認知症の症状しってますか?:対処法

女性同士

まずは、認知症は病気であるということをしっかりと理解して下さい。

これだけ分かって頂ければ十分なくらい、この事を認識して下さい。

そう思うだけで、認知症の方との接し方がちょっと変わると思います。

何の病気かというと、脳の病気です。

映画やドラマでよく見るのは若年性アルツハイマー病ですね。

あれも脳の病気ですが、加齢による認知症も脳が縮んだりすることで起こります。

詳しいことは、ここでは触れませんが、病気なんです。

そして、認知症の本人は自覚症状がないことを理解してあげて下さい。

本人は病気と思っていません。

認知症と思っていません。

そんな人に「あなたは病気だ、治療をしよう」と言ったり、

「最近もの忘れが多いから、薬を飲もう」と言っても拒否されます。

「私は病気なんかじゃない!」と。

これを繰り返すと暴言・暴行・妄想などの周辺症状を悪化させるかもしれません。

または、ガミガミ言われすぎて無気力になり、何も行動しなくなるかもしれません。

介助「してあげる」という意識から「させていただく」という意識で接することができるといいかもしれません。

「薬を飲んでもらえると嬉しいです」や「これをさせていただけたら嬉しい」という態度です。

ただし、これを家族の方が毎日するのは大変かもしれません。

そんな時は我慢せずにショートステイやグループホーム、通所リハなどを利用しましょう。

我慢してもお互い、いいことはありませんよ。

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認知症の症状しってますか?:まとめ

まとめ

今回は、認知症についての症状について解説しました。

認知症になって方とは接し方がとても大切です。

それ次第で、認知症の程度が良くも悪くもなります。

ただし、介助者の方のストレスもとても大きいです。

会話をしていても20分のうちに同じ話を10回繰り返すこともあります。

「お前なんかあっていけ!」と暴言・暴行をされることもあります。

それでも怒ってはいけないのです。

怒っても注意しても、本人はその行動をすぐに忘れるから意味がありません。

むしろ、その時の嫌だった感情だけが残り、より怒りやすくなります。

介助者の方も、「病気だからしかたない」と割り切って、できるだけストレスをためないようにできたらいいですね(^^)

少しでも参考になればうれしいです(^^)

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